【にいがた にしかん 食の文化部 】レポ#3『麩寿司』
前回ご紹介した「きりあえ」に続き、もう一品教えていただいたのは、 にしかんエリア旧西川町(曽根)で食べられていたという「麩寿司」。
旧西川町は私の母の生まれた場所であり、私の地元ですが、この麩寿司を知ったのは数年前でした。
「麩寿司」は、球体を半分に割ったような形をした県北の岩船エリアで今も作られているお麩を使った郷土料理。
甘く煮付けたお麩に酢飯を詰めた、見た目も可愛いお寿司です。
今回も阿部マサコさんと西川地区の佐藤よしこさんにお話を伺い、作り方を教わってきました。
教えていただいた佐藤ヨシコさん(左)と阿部マサ子さん(右)
お麩は、室町時代に中国へ修行に行った僧侶が日本に持ち帰ったことで伝わったと言われている食べ物で、江戸時代後期頃に岩船地区に北前船が立ち寄ったことから、岩船地域へお麩の加工技術が伝わり、そこでの製造が始まったそうです。
そして、どうして岩船のお麩が主に西川エリア(曽根)で食されてきたのかというと、西川沿いの村々の年貢を新潟町に運ぶ「蒲原船道」という地蔵堂、吉田、和納、巻、曽根などの沿線を通る船便が発達し、明治期には川汽船の航路が信濃川、西川を経由し、新潟ー巻ー吉田を結んだことによって、岩船から西川を経由し、西蒲の曽根へ伝わったのではないか、という説があるようです。
船便が発達し、まちが賑わったことで、岩船の食材が西蒲へ伝わって、西蒲の郷土料理になったらしい、ということも大変興味深かったです。
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■ 麩寿し ★★★☆☆
・岩船麩 20個(10個入り2袋)
・醤油 1カップ
・砂糖 65g
・だし汁 1L(水1Lに顆粒出汁を適量でもOK)
・炊いたご飯・・・1.4kg位(お米4合分程)
・すし酢(ごはん4合の場合)
米酢 120ml
砂糖 大さじ4杯(36g)
塩 小さじ2杯
1.お麩は水(分量外)に浸して1晩寝かす(ふやかす)。
2.お麩を軽く絞り、底に×の切り込みを入れる。
3.鍋に醤油、砂糖、だし汁を入れ、切り込みを入れたお麩を入れて2、30分ほど煮る。(途中鍋を揺すりながら焦がさないように)
4.火を止めて、一晩寝かして味を染み込ませる。
5.お麩を搾る。
6.酢飯を作る。
7.酢飯を68gほどの重さの球体に握る。
8.握っ た酢飯にお麩をかぶせ、切り込みから開いて被せる。
9.完成。
ご自宅で作る際は、人数によって分量を変えてみてくださいね。
お麩は、4、5人の家族であれば、半量、または4分の1の分量でいいかと思います。
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岩船のお麩が、私の地元で食べられていたことにも驚きましたが、お麩に酢飯を詰めてお寿司にするという発想が、とても面白いなと思いました。甘しょっぱく煮た優しい味のお麩と、ほどよい酸味の酢飯とのバランスがとても良く、かなりボリュームがあるのに、うっかり2、3個食べてしまうほどの美味しさでした。
取材の際に佐藤さんが作って持ってきてくださった、赤かぶの漬物を麩寿司と一緒にいただきましたが、蕪の食感もよくて、とても美味しくいただくことができました。ちなみに赤カブの漬物は、お酢と塩を砂糖で漬けてあるそうですよ。
阿部さん、佐藤さん、ありがとうございました。そして、ごちそうさまでした。